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個性を持った自立的な人間の創造
    
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タイトル: Proust lycéen dans la période de transition didactique : sur la narration « Lʼéclipse »
その他のタイトル: 教育過渡期のリセに学んだプルースト : ナラシヨン練習「月蝕」について
著者: YOKOYAMA, Hiroto
横山, 裕人
発行日: 2020年6月
出版者: 成蹊大学法学会
抄録: プルーストがリセ・コンドルセに在籍した時代は、フランス中等教育改革の過渡期にあたる。それは、ギリシア・ローマ文学やフランス文学の古典的な作品の教育上の位置づけも変わろうとしていた時代である。その渦中にあった少年プルーストの学校作文「月蝕」は、受容と創造関係の具体的な様相を解明するのに興味深い資料となる。最初に、第2 年級在籍中(1886 年3 月)に書かれたこの作文の問題文を推定する。この作文に対して、E. Kaës(2019)が提示する問題文(Th. H. Barrau)よりも適合する問題文(A. Filon)を提示した。フィロンの問題文・模範解答例とプルーストの作文との対照を基に、人物の性格付けや文体的な技巧などについて、古典レトリックの観点から行われた検討の結果、レトリックと問題文の枠組に配慮しつつも、月の描写に傾注するプルーストの独自性が浮き彫りになった。次に、この時期のプルーストの読書に学校と家庭の両面から迫った。歴史的主題(コロンブス)を敷衍するために必要な知識を提供する歴史教科書(H. Vast)、撰文集に掲載されていたベルナルダン・ド・サン=ピエール(『自然の調和』は別な作文「雲」の典拠の可能性も)やシャトーブリアンの文章、新年の贈り物となった本(L.Biart)などが、プルーストの作文に影響を与えた可能性を論じた。こうした受容/創造関係は、『ジャン・サントゥイユ』に残った痕跡に伺えるようにリセ哲学級で新たな段階を迎える。こうした段階を経た1890 年代前半の小品における月の描写には真の印象に向き合う姿勢が現れる。受容/創造関係を段階的に清算しながら大作へ向かったのである。
URI: http://hdl.handle.net/10928/1310
出現コレクション:第92号

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